資産をつくることは非常に困難
住宅も、地価の上昇によって中古価格が値上がりして資産形成に役立つ例が多かったことは多言を要しません。今後も、従来通りに上昇を続けるかどうかは問題もありますが、資産として残るというメリットは、賃貸住宅には期待できません。このメリットを重視するがゆえに、住宅価格が高水準化しても、多くの自己資金を調達し、住宅ローンの重荷に耐えながらも持ち家実現に踏み切る人が後を絶たないのです。さて、ここで資産形成メリットの一例をあげてみましょう。筆者の友人(会社員・五○歳)が昭和五五年一○月に、東京都品川区東品川三丁目で「東品川ハウス」というマンションを(3DK、五七・一平方メートル)を二三四○万円で購入しました。ところが、昭和六○年頃から都区内の中古マンション価格が急上昇に転じ、六三年には六○○○万円の高値をつけました。その後平成元年一月には五四○○万円に下がり、平成三年一○月には四四八○万円にまで値下がりしていますが、それでも二年で約一・九倍の値上がりです。中古価格が六○○○万円の最高値をつけたときに、上手に立ち回って住み替えをしていたなら、今ごろはもっと立派な住宅に住んでいたはずですが、この友人、財テクにはまったく関心がなく、家族も夫婦だけという気安さ(一人娘が最近結婚したため)で、都心に住むメリットを重視してこのマンションに住み続けているのです。中古マンション価格の変動が激しかったとはいえ、賃貸住宅暮らしを続けていたならば、これだけの資産をつくることは非常に困難だったでしょう。住宅をあたかも預金通帳の残高を増やすような財テクの対象としてもてあそぶのは感心できませんが、筆者の友人のように、自分の生活の拠点としての実需要を重視して取得し、地価の値上がりによって結果的に資産価値が高まったというのが、もっとも望ましいパターンだといえます。今後も、この基本は十分に通用するでしょう。

